2005-01-01から1年間の記事一覧

『誰も読まなかったコペルニクス』

誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション)作者: オーウェン・ギンガリッチ,柴田裕之出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/09/22メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブ…

『知識革命の系譜学』大出晃

知識革命の系譜学―古代オリエントから17世紀科学革命まで作者: 大出晁出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/08/26メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る ■仮説演繹的検証の方法はいつ生まれたかアリストテレスの論理学や、方法…

Oxygen

Oxygen: A Play in 2 Acts作者: Carl Djerassi,Roald Hoffmann出版社/メーカー: Wiley-VCH発売日: 2001/02/22メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る カール・ジェラッシとロアルド・ホフマンが共著で書いた戯曲 oxigenを読んだ。ジェラ…

『心は実験できるか』ローレン・スレイター著 岩坂彰訳 紀伊國屋書店

心は実験できるか―20世紀心理学実験物語作者: ローレンスレイター,Lauren Slater,岩坂彰出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/08/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 44回この商品を含むブログ (40件) を見る お友達の岩坂さんの訳書。表紙を見て…

『SYNC』S・ストロガッツ著

SYNC作者: スティーヴン・ストロガッツ,蔵本由紀,長尾力出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/03/29メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 82回この商品を含むブログ (51件) を見る 本書はいろいろな意味で、たいへん気持ちの良い本だった。 ■監修者 蔵本由…

the new yorker oct. 3 2005

the new yorkerの芸術評論によると、演出家ピーター・セラーズ(ピンクパンサーとは関係ない^^;)と、作曲家ジョン・アダムズ(生存しているなかで最高の現代作曲家という人もいる)が組んで、Doctor Atomic というオペラを作ったそうだ。 マンハッタン計画…

『盛期ギリシア教父』

盛期ギリシア教父 (中世思想原典集成)作者: 上智大学中世思想研究所出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1992/09/01メディア: 単行本購入: 1人 この商品を含むブログ (2件) を見る 『コンスタンティヌスの生涯』に関する記事のところで書いたように、コンスタン…

『フラックスへの反論』フィロン著 秦剛平訳

フラックスへの反論・ガイウスへの使節 (西洋古典叢書)作者: フィロン,秦剛平出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2000/10/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る これもまた秦氏の訳業だ。フィロンはナザレのイエスと…

クオ・ヴァディス(反ユダヤ主義への道)

反ユダヤ主義には、大きく二つの原因がありそうだ。 ひとつは、ユダヤ人がどこででも「よそ者」であったこと。そしてもうひとつは、キリスト教が誕生したことである。 前回書いたように、エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』の訳者である秦氏は、エウ…

『コンスタンティヌスの生涯』エウセビオス

コンスタンティヌスの生涯 (西洋古典叢書)作者: エウセビオス,秦剛平出版社/メーカー: 京都大学学術出版会発売日: 2004/06/01メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る キリスト教が変質していくうえで大きな転回点となったのは、た…

『クオ・ヴァディス』女子パウロ会 藍真理人

実はわたし、シェンキェヴィッチの原作を読んだことがない(^^ゞ クォ・ヴァディス (2)作者: シェンキェヴィチ,藍真理人出版社/メーカー: 女子パウロ会発売日: 1982/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る このマンガは大分前に…

エラスムス(スコラ学と人文主義)

エラスムスの『痴愚礼讃』(の邦訳)は、これまた訳者による解題がたいへん有益だった。なにしろ訳者の大出晃氏は、いかにもわたしにとって有益な解題を書いて下さりそうな経歴の持ち主なのである。 大出氏は、スコラ哲学の権威であった松本正夫氏のもとでト…

エラスムス(針の上の天使)

わたしがエラスムスの『痴愚礼讃』を読んでみようと思い立ったのは、もう長いこと(具体的には一年半前から)気になっていたひとつの問題について、少しは解決への手がかりを探してみようかなと思ったからだ。 その問題とは、「中世のスコラ哲学者たちは、針…

『痴愚礼賛』エラスムス著

痴愚礼讃―附 マルティヌス・ドルピウス宛書簡作者: エラスムス,Desiderius Erasmus,大出晁出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2004/08/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (6件) を見る エラスムスの『痴愚礼讃』(と、マルテ…

レトリック(3)

■弁論術・修辞学の歴史(古典古代の範囲内で) 弁論・修辞の言葉の起源と、同じ言葉が指示する内容の変化を、『ディオニュシオス 修辞学論集』の木曽・戸高両氏による解説にもとづいて簡単にまとめておく。 レトリックの起源は、ギリシャ時代の「レートリケ…

レトリック(2)

■ディオニュシオスによるデモステネス論――説得技術の最高峰 ディオニュシオスの修辞学論集は、数人の著名な弁論家を取り上げているが、すべてはデモステネス論への序論であるようにも見える。構図だけ言えば、次のようになる。 文章のスタイルには荘重体(ト…

『ディオニュシオス 修辞学論集』

■修辞学との出会い(^^ゞかれこれ5、6年前のことだが、文系の大学院まで修了したという人と知り合った。「ご専門は何でしたか?」と尋ねたら、「修辞学です」という答えが返ってきた。えっ、しゅ、修辞学!?とあっけに取られているうちに(^^ゞその場の話題…

『モーニング』へうげもの 山田芳裕

講談社刊『週刊モーニング』8月18日no.38から新連載が始まった山田芳裕の「へうげもの」が非常に気に入った。今後の展開に大いに期待したい。 古田織部を「物欲の先輩」と位置づけるところがなんともすごいし、登場人物も豪華絢爛(になるはず)。すでに羽柴…

『コペンハーゲン』マイケル・フレイン著、小田島恒志訳 劇書房

二十世紀の科学者や科学史にかかわる本を読むとき、わたしにとってまず気になるのは、その本の著者がヴェルナー・ハイゼンベルクをどのように扱っているかだ。もちろん、物理学上の業績だけに触れている本も多いけれど、一般向けの本となると、第二次世界大…

The New Yorker July 11&18, 2005

THE MISSING MADONNA The story behind the Met's most expensive aquisition by CALVIN TOMKINSご飯食べながらこの記事を読んで、ニューヨークを再訪したくなった。 大英博物館では、おそらく誰もが思うであろうように、わたしもまた「ここは盗品展示場だ」…

『パタリロ源氏物語2』

パタリロ源氏物語! (2) (花とゆめCOMICS (2793))作者: 魔夜峰央出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2005/06/04メディア: コミック クリック: 6回この商品を含むブログ (25件) を見る また買ってしまった(^^ゞアマゾンで本を買ったら1500円に満たなかったの…

『ボーズ・アインシュタイン凝縮』

ボーズ・アインシュタイン凝縮 (物理学叢書)作者: ペシィック,スミス,Christopher J. Pethick,Henrik Smith,町田一成出版社/メーカー: 吉岡書店発売日: 2005/06メディア: 単行本 クリック: 15回この商品を含むブログ (9件) を見る ちょうど十年前になるが、…

『イエスは仏教徒だった?』

イエスは仏教徒だった?―大いなる仮説とその検証作者: エルマー・R.グルーバー,ホルガーケルステン,市川裕,小堀馨子,Elmar R. Gruber,Holger Kersten,岩坂彰出版社/メーカー: 同朋舎発売日: 1999/05メディア: 単行本 クリック: 20回この商品を含むブログ (5件…

『天文対話』ガリレオ・ガリレイ

天文対話〈上〉 (岩波文庫)作者: ガリレオガリレイ,青木靖三出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1959/08/25メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (5件) を見る いまごろ〜(^^ゞだが、ガリレオ・ガリレイの『天文対話』を通読した。こ…

『残像に口紅を』筒井康隆

それでさっそく家人に「筒井康隆の『残像に口紅を』ってもってる?」と尋ねたら、持っているとのことで、さっそく出してきてくれた。見れば初版本だ。しかも終わりの方三分の一ぐらいが封印されていて、「もしもここまで読んで来て内容が面白くなかったら、…

計量国語学

しばらく前のことになるが、友人(日本人)からメイルが来た。内容は、英語に関するジョーク(英文)の話だった。 おおざっぱな内容をかいつまんで説明すると、EUの共通言語として英語が採用されることになったが、どうも英語のスペルには改良の余地がある…

THE NEW YORKER 2005 MAY 30

社会生物学論争について書いたばかりなので、ついでにメモっておく。 H. Allen Orr(ロチェスター大学生物学教授)が、最近の「新しい創造説」について解説記事を書いていた。アメリカでは切実な話だ。 最近の創造説は、Intelligent Design (以下IDと略す…

『社会生物学論争史2』

社会生物学論争史〈2〉―誰もが真理を擁護していた作者: ウリカセーゲルストローレ,Ullica Segerstrale,垂水雄二出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2005/02/23メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (32件) を見る 「1」のほうです…

The New Yorker

そういえば最近、オーランド・ブルーム主演のキングダム・オブ・ヘブンの映画評を読んだ(The New Yorkerの記事で)。酷評とまではいかないが、いまいちの評価だった。物語そのものがちょっと説得力を欠くのに加えて、オーランド・ブルームに説得力がない。…

『本』6月号

講談社の『本』6月号、藤原帰一氏の「アンチ・ヒーローのアメリカ」第十回を読みだしたら、The New Yorkerの映画評の話題が出てきた。なんでも、『俺たちに明日はない』は、公開されたときにニューヨークタイムズ紙の映画批評を担当するボスリー・クラウザ…