カンディード

カンディード』ヴォルテール作、植田祐次訳、岩波文庫 『『カンディード』<戦争>を前にした青年』水林章著、みすず書房 カンディードのことは、みなさん(読んでない人も(^^ゞ)、なんとなくご存知のことと思います。内容を簡単に要約するのは難しいのです…

ホッブズとオオカミ

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。 たまたま岩波文庫でヴォルテールのカンディードを読んでおりましたら、「人間は決して狼に生まれついてはいないのに、狼になってしまったからだ」という台詞があり、そこに注がついていたの…

心の視力:オリバー・サックス

オリヴァー・サックスは映画『レナードの朝』の原作者としても有名ですが、だいぶ昔から、脳神経科医として見てきたさまざまな患者を題材に、知覚の世界の不思議な情景を伝える作品を書いています。 どの作品も、脳こそは、もっとも身近でありながらもっとも…

bluebacks 相対論&量子論

『アメリカ最優秀教師が教える 相対論&量子論』(講談社ブルーバックス、スティーヴン・L・マンリー著、スティーヴン・フォーニア絵、吉田三知世訳)に絡めて、量子論について(?笑)少し述べます。アメリカ最優秀教師が教える 相対論&量子論―はじめて学…

THE NEW YORKER イーリアス新訳

THE NEW YORKERの十一月七日号に、イーリアスの最新訳(英語訳)に関する書評が載っていました。THE NEW YORKERの書評というのは、一冊ないし数冊の本を取り上げて、本の内容紹介だけでなく、その分野の状況とか歴史も紹介してくれるので、なかなか勉強にな…

だいぶ昔のことになるが、9:11のあと、日本のイスラム教関係者とイスラム学者有志による声明文というものをいただいた。今、手元にないので、どういう方々か署名しておられたのかはわからない。とにかく、「ムスリム=テロリスト」のような見方が広まってい…

『万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測』

万物の尺度を求めて―メートル法を定めた子午線大計測作者: ケンオールダー,吉田三知世出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/03/23メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 83回この商品を含むブログ (23件) を見る もうだいぶ昔のことだが、畏友S氏があると…

『ビッグバンの父の真実』ジョン・ファレル著 吉田三知世訳 日経BP社

ビッグバンの父の真実作者: ジョン・ファレル,吉田三知世出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2006/10/19メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (5件) を見る ダン・ブラウンの『天使と悪魔』という本(前にも書いたことがあるが、わ…

『世界で一番美しい愛の歴史』

うーん、このタイトル↑、なんとかならんかったんだろうか(^^ゞ わたし的にはこのベタなタイトル、ちょっと引いちゃいます(^^ゞ でも、ルゴフが参加しているので、ルゴフの二作品(どちらもインタビューに応える形式) 中世とは何か作者: J.ル=ゴフ,池田健二,…

the new yorker february 13&20 2006

annals of religion THE SAINTLY SINNER the two-thousand-year obsession with Mary Madalene by Joan Acocella 「ユダの福音書」がユダヤ人問題を提起したとすれば、ナグ・ハマディ文書に含まれる「マグダラのマリアの福音書」はフェミニズムに直結する問…

「新解説 ユダの福音書」ナショジオ日本版

義父がナショジオ日本版に付録としてついてきた「新解説 ユダの福音書」という小冊子を送ってくれた。この小冊子には、 ・「ユダの福音書」翻訳者 マービン・マイヤー 米チャップマン大学聖書・キリスト教学科教授、同大学アルバート・シュバイツァー研究所…

the new yorker august 28, 2006

ロシアの数学者グレゴリー・ペレルマンがポアンカレ予想を証明し、フィールズ賞を辞退したというのが話題になっている。フィールズ賞が授与されることになったのだから、重要な貢献であることは間違いないとして、いったいそれはひとつの「重要な貢献」なの…

the new yorker, may 22, 2006

これもちょっと前の記事だが。 『ダ・ヴィンチ・コード』についていろいろな論争が行われているサイトがあるそうで、そこでは、『ダ・ヴィンチ・コード』の物語は反キリスト教的だとか、不正確な記述の多いエセ歴史だとか、この程度の話に夢中になる読者は騙…

The New Yorker, April 17, 2006

少し前に(今年の春)『ユダの福音書』というのが話題になった。『ユダの福音書』によれば、ユダはイエスを裏切ったのではなく、イエスに頼まれて彼を官憲に売り渡したのだそうだ。少々気になりつつ読んでなかったが、the new yorker誌のバックナンバーに、…

『イーリアス上中下』岩波文庫 呉茂一訳

イーリアス (上) (平凡社ライブラリー)作者: ホメーロス,呉茂一出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/07/10メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る イーリアス〈下〉 (平凡社ライブラリー)作者: ホメーロス,Homeros,呉茂一出版社…

『マザー・ネイチャー』

マザー・ネイチャー (上)作者: サラ・ブラファー・ハーディー,塩原通緒出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/05/26メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 13回この商品を含むブログ (16件) を見る マザー・ネイチャー (下)作者: サラ・ブラファー・ハーディ…

『素数ゼミの謎』吉村仁・著 石森愛彦・絵

素数ゼミの謎作者: 吉村仁出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/07/12メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 85回この商品を含むブログ (66件) を見る 北米大陸には13年、17年の周期で大発生する蝉がいる。従来、この蝉がそんな奇妙な習性を獲得したの…

『英国レディーになる方法』

英国レディになる方法作者: 岩田託子,川端有子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/09/11メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 34回この商品を含むブログ (19件) を見る これは少女のあこがれに応えるロマンティックな本でも、「玉の輿に乗りました」…

『プラトン全集5』(饗宴、パイドロス)

プラトン全集〈5〉 饗宴 パイドロス作者: 田中美知太郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/05/26メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見る 今朝、プラトンの『饗宴』(これは復習)と、『パイドロス』(はじめて)を読んだ。で…

『ぼくたちも妊娠できますか?』

ぼくたちも妊娠できますか?―平凡な日常を驚きの世界に変えるQ&A (ハヤカワ文庫NF)作者: ビルソーンズ,リッチソーンズ,Bill Sones,Rich Sones,丸山聡美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/04メディア: 文庫 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見…

『ハムレットは太っていた』

ハムレットは太っていた!作者: 河合祥一郎出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 『ハムレット』の中で、母親ガートルードが「あの子は太っていて、息が切れている」という台詞があるのだが、わたしはこ…

『スコットランド西方諸島の旅』

スコットランド西方諸島の旅 (中央大学人文科学研究所翻訳叢書)作者: サミュエルジョンソン,中央大学人文科学研究所,中央大人文科学研究所=,諏訪部仁,江藤秀一,市川泰男,芝垣茂出版社/メーカー: 中央大学出版部発売日: 2006/03メディア: 単行本購入: 1人 ク…

『崇高と美の観念の起原』

崇高と美の観念の起原 (みすずライブラリー)作者: エドマンド・バーク,中野好之出版社/メーカー: みすず書房発売日: 1999/06/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (15件) を見る 昔、アメリカで美術館をあたふ…

the new yorker november21, 2005& january 2, 2006

■"PRISONER OF NARNIA" C.S.ルイスわたしは大人になってから、子供たちへの読み聞かせという形で『ナルニア国物語』読んだ。そして、あまりに狭量なキリスト教倫理臭さに驚いた。子ども時代にこれを読んだ人は楽しめるかもしれないが、大人になってから読…

『誰も読まなかったコペルニクス』

誰も読まなかったコペルニクス -科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険 (ハヤカワ・ノンフィクション)作者: オーウェン・ギンガリッチ,柴田裕之出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/09/22メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブ…

『知識革命の系譜学』大出晃

知識革命の系譜学―古代オリエントから17世紀科学革命まで作者: 大出晁出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/08/26メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る ■仮説演繹的検証の方法はいつ生まれたかアリストテレスの論理学や、方法…

Oxygen

Oxygen: A Play in 2 Acts作者: Carl Djerassi,Roald Hoffmann出版社/メーカー: Wiley-VCH発売日: 2001/02/22メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (1件) を見る カール・ジェラッシとロアルド・ホフマンが共著で書いた戯曲 oxigenを読んだ。ジェラ…

『心は実験できるか』ローレン・スレイター著 岩坂彰訳 紀伊國屋書店

心は実験できるか―20世紀心理学実験物語作者: ローレンスレイター,Lauren Slater,岩坂彰出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/08/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 44回この商品を含むブログ (40件) を見る お友達の岩坂さんの訳書。表紙を見て…

『SYNC』S・ストロガッツ著

SYNC作者: スティーヴン・ストロガッツ,蔵本由紀,長尾力出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2005/03/29メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 82回この商品を含むブログ (51件) を見る 本書はいろいろな意味で、たいへん気持ちの良い本だった。 ■監修者 蔵本由…

the new yorker oct. 3 2005

the new yorkerの芸術評論によると、演出家ピーター・セラーズ(ピンクパンサーとは関係ない^^;)と、作曲家ジョン・アダムズ(生存しているなかで最高の現代作曲家という人もいる)が組んで、Doctor Atomic というオペラを作ったそうだ。 マンハッタン計画…