2005-08-01から1ヶ月間の記事一覧

エラスムス(スコラ学と人文主義)

エラスムスの『痴愚礼讃』(の邦訳)は、これまた訳者による解題がたいへん有益だった。なにしろ訳者の大出晃氏は、いかにもわたしにとって有益な解題を書いて下さりそうな経歴の持ち主なのである。 大出氏は、スコラ哲学の権威であった松本正夫氏のもとでト…

エラスムス(針の上の天使)

わたしがエラスムスの『痴愚礼讃』を読んでみようと思い立ったのは、もう長いこと(具体的には一年半前から)気になっていたひとつの問題について、少しは解決への手がかりを探してみようかなと思ったからだ。 その問題とは、「中世のスコラ哲学者たちは、針…

『痴愚礼賛』エラスムス著

痴愚礼讃―附 マルティヌス・ドルピウス宛書簡作者: エラスムス,Desiderius Erasmus,大出晁出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2004/08/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (6件) を見る エラスムスの『痴愚礼讃』(と、マルテ…

レトリック(3)

■弁論術・修辞学の歴史(古典古代の範囲内で) 弁論・修辞の言葉の起源と、同じ言葉が指示する内容の変化を、『ディオニュシオス 修辞学論集』の木曽・戸高両氏による解説にもとづいて簡単にまとめておく。 レトリックの起源は、ギリシャ時代の「レートリケ…

レトリック(2)

■ディオニュシオスによるデモステネス論――説得技術の最高峰 ディオニュシオスの修辞学論集は、数人の著名な弁論家を取り上げているが、すべてはデモステネス論への序論であるようにも見える。構図だけ言えば、次のようになる。 文章のスタイルには荘重体(ト…

『ディオニュシオス 修辞学論集』

■修辞学との出会い(^^ゞかれこれ5、6年前のことだが、文系の大学院まで修了したという人と知り合った。「ご専門は何でしたか?」と尋ねたら、「修辞学です」という答えが返ってきた。えっ、しゅ、修辞学!?とあっけに取られているうちに(^^ゞその場の話題…

『モーニング』へうげもの 山田芳裕

講談社刊『週刊モーニング』8月18日no.38から新連載が始まった山田芳裕の「へうげもの」が非常に気に入った。今後の展開に大いに期待したい。 古田織部を「物欲の先輩」と位置づけるところがなんともすごいし、登場人物も豪華絢爛(になるはず)。すでに羽柴…