『ハムレットは太っていた』
- 作者: 河合祥一郎
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2001/06
- メディア: 単行本
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『ハムレット』の中で、母親ガートルードが「あの子は太っていて、息が切れている」という台詞があるのだが、わたしはこれをずっと「太っている=汗っかきだ」という、言語地理学に由来する説が正しいのだと信じていた。で、いまもそれは一説ではあるのだろうが、しかし河合祥一郎氏が「fat=太っている」だという説を出していると聞き、それを確かめるためにこの本を読んだ。
結果として、fatがどうかということにとどまらず、実に考えさせられる非常に有益な本だった。
1 まず、役者と芝居の関係について。座付き作者であるシェイクスピアが、具体的な役者を念頭に置いていろいろな作品を書いたと考えることで作品理解が深まるという、とても有益なお話を堪能することができた。河合氏、お話うまいです!
2 第五章、オセローの解釈に引き込まれた。圧巻。ここに書かれていることが河合氏の勝手な解釈だとはわたしには思えず、そうだとすると、シェイクスピアの人間観察の深さや時代を超越する普遍性に改めてうならされる。みなさん、ぜひ読んでみて下さい!