『ボーズ・アインシュタイン凝縮』

ボーズ・アインシュタイン凝縮 (物理学叢書)

ボーズ・アインシュタイン凝縮 (物理学叢書)


ちょうど十年前になるが、新聞で「ボーズ・アインシュタイン凝縮が実験的に実現」という見出しを見てびっくりした。なんで今頃?と思ってしまったのだ(^^ゞ


なにしろボーズ・アインシュタイン凝縮といえば、超伝導だって超流動だって、それどころか原子核でも素粒子でも物性でも、フェルミオンがペアになるだのエネルギーにギャップが出るとかいう話には必ず出てくるといっても過言ではなく、そこらじゅうに転がっている(^^ゞ現象だと思っていたからだ(不勉強ですみません)。しかしこのことは、ボーズ・アインシュタイン凝縮という概念がいかに重要かを示している。


……というわけで(?(^^ゞ)話は少々ずれるが、わたしは専門教科書をめくるのが好きだ。一般向けの本を何冊読んでもなんとなくすっきりしない点が、専門教科書では冒頭にポロリと書いてあったりする。この『ボーズ・アインシュタイン凝縮』も、最初から「ああそうか」とか「なんと、そういうスケールの話か」とか、1パラグラフごとにな「なるほど」の連続だ。


その先ずっと数式までフォローすることはもはやないけれど、わたしにとって専門教科書はやっぱりとてもありがたい存在だ。ペシィック、スミスのようにきちんとした講義内容を本としてまとめてくれる人たち、それを翻訳してくださる町田氏のような研究者のみなさん(なお、邦訳版の表紙の写真は、町田氏の研究室で撮影されたものだ)。時間を割いてこういう仕事をしてくださる専門家のおかげで、大学院生以上の研究者のみならず、わたしのような周辺の者もどんなに恩恵をこうむっているかわからない。


わたしにとって専門教科書は、「急がば回れ」というより、「急いでいるならこれ」の存在だ。執筆・翻訳にたずさわる研究者の皆さん、まいどお世話になっております<(..)>