『ロウソクの科学』
先日書いたアルマゲストの項で、「重訳」という言葉が出てきたので、わりと最近感じたことを書いてみたい。
ファラデーの有名な『ロウソクの科学』はたくさんの訳が出ているが、岩波文庫版と角川版について、ちょっとだけ原文(もちろん英語)と対照してみる機会があった。
- 作者: ファラデー,竹内敬人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: 文庫
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で、岩波版なのだが、これがドイツ語からの重訳になっている。そして詳しく見てみると、原文のニュアンスや意図が相当ずれているところがあり、ファラデーの思考や感性をきちんと追うには適さないと思った。英語からドイツ語に訳にした段階で問題があったのではないかという印象を受けた。
それに対して角川版は
- 作者: ファラデー,三石巌
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1962/10
- メディア: 文庫
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は、丹念に英語のニュアンスをひろっていて、納得した。
年代的にこれより後に出た講談社版
- 作者: マイケル・ファラデー,吉田光邦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1972/01
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や旺文社版
- 作者: マイケル・ファラデー,日下実男
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 1974/01
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は、わたしは見ていないけれど、さらに良くなっているんだろうなと推測する。
岩波版は、なぜわざわざドイツ語から訳したのかと解せない面もあるが(わたしはドイツ語が全然だめなので(^^ゞ)いろいろな事情があったのだろう。ともあれ、重訳はやはり怖いと思わされた。だからこそ、アルマゲストも、やっぱりギリシャ語から訳したものが早く出て欲しいと思う。