『本』2005年1月号(『力士漂泊』について)

また講談社のPR誌『本』だが(^^ゞ、

じつはわたし、相撲にはまったく興味がない。ほかのどのスポーツにも興味がないのだから当然だ。しかし単に興味がないだけでなく、なんとなくもやもやした気持ちをもっている。あの「国技」だとか「女人禁制」だとか、いかにもあやしげなものが「なんだかな〜」なのだ。

でも、上記『本』に池内紀氏が連載している珍品堂目録は面白いので、今号は相撲ネタではあったが読んでみた。


いや〜読んでみるもんですね!


池内氏>当今の相撲番付ではモンゴル出身力士が東の正横綱を張っている。「国技だのになぁ」。そんなふうに思っている人もいるだろう。


ところが昭和六十年に小沢書店から刊行された『力士漂泊』宮本徳蔵著を読むと……

池内氏>読み出してすぐにわかるのだが、朝青龍横綱を張っているのはまったく正しい。相撲の考古学にてらすとき、われわれはいま、いみじくも、相撲の発祥そのものの現場に立ち会っている。「草原と砂漠のまちりつつ果てもなくつらなるアジアの北辺。現在の地図でいえばモンゴル共和国のしめているところ」……


というわけで、池内氏はこの短い記事の中で、相撲は由来なり歴史からして「国の技」でもなんでもなんでもなく、「国技」概念は政治的演出によって作り出されてきたものにすぎないことを納得させてしまう。言われてみりゃ、そりゃそうだよね。ともかく、現状をみてもわかるように、日本の相撲には「政治的伝統」があるのである。


しかしこの記事を読んで目が覚めた。国技だのなんだのというわけのわからんものをとっぱらってしまえば、北アジアに生まれたこの格闘技の文化史は、けっこうおもしろそう!


相撲にもちょっと興味がわいたぞえ。